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トークイベントレポート
『ゆれる』について語り合いました
2006年6月13日(火) スペースFS汐留(新橋)ゲスト=西川美和監督
Evolution J film

ポスター ある事件をめぐる対照的な性格の兄弟の葛藤と真意を探りながら、人間の深層に眠るドロドロした感情をあぶり出した『ゆれる』。公開前から絶賛の声が聞かれ、今年のカンヌでも話題を集めた問題作だが、この日の上映後のトークでは、一筋縄ではいかない内容にも関わらず、鋭い質問が飛び交い、西川美和監督が唸る一幕も。監督がそれに丁寧に答えていたのが印象的でした。


「オダギリさんも香川さんも完璧で、言うことがなくて困りました(笑)」

Q:あまり似てない香川照之さんとオダギリ ジョーさんを兄弟に選んだのはなぜですか?
西川:そうですよね、似てないですよね(笑)。ただ、似てない兄弟って結構いると思ったので、それは心配してませんでした。キャスティングのポイントとしては、映画作りに対して誠実で熱意がある人たちと私の3人が面をつき合わせてやれる現場を作りたいというのがあったんです。でも、おふたりとも役に対する解釈が非常に深くて、1回目のテストから文句のつけようのないお芝居をされるので、逆に言うことがなくて困りましたね(笑)。

Q:ゆれる橋が何度も象徴的に登場しますが、それを最後だけ、ゆれるブランコにした理由は?
西川:うーん、鋭いな〜! あのブランコは、実はまったく自分の撮影プランになくて。あの実家のシーンを撮影させていただいたお宅の物置の裏に転がっていたんですけど、なんか、撮っておきたかったんですよね。かつて兄弟が乗ったであろうブランコが錆びて朽ち果てて揺れているのを。それに、あのシーンでオダギリさんが語る台詞の中に「あの橋はまだかかっているんだろうか?」って言葉があるので、そう言いながら、かかっている橋を見せるのはどうかな? というのもあって、ブランコにしたんです。

『ゆれる』は、7月8日(日)より、
アミューズCQNほかにて公開
司会:相田冬二
文:イソガイマサト
PHOTO:星野洋介

みなぎる映画的緊張感は一瞬もゆるむことなく、見た後、心揺さぶられる。
ポスター 恐るべき映画の誕生である。本作によって、西川美和監督はその突出した演出力を世に知らしめ、日本映画のトップランナーのひとりとして躍り出ることはもはや間違いないだろう。1組の兄弟がいる。風貌も性格も対照的な兄弟。東京でカメラマンとして活躍する弟と、田舎で家業を手伝う兄。久しぶりに帰郷した弟は、ひとりの女性の転落死をきっかけに、兄と対峙することになる。兄は容疑者、弟は目撃者。はたして兄は女を殺したか否か。映画は、事件の行方を追いながら、この兄弟の「真実」をあぶりだしていく。
 卓越した法廷劇としてのミステリーを軸に抱えながら、ありきたりな確執や葛藤に封じ込めることのできない人間と人間との根源的な関係性そのものにメスを入れるその筆致。運命に翻弄されるというより、宿命に「試される」ふたりの姿を見つめるまなざしは、神話的と言ってもいいほど雄大で、そして深い。王道の映画としての風格を放ちながらも、微細なリアルをとことん追求したその描写は、男たちの硬質な色気を画面のいたるところに定着させ、みなぎる映画的緊張感は一瞬も弛緩することがない。
 タイトルは、事件の舞台となる山のつり橋の動きからきている。人間はゆれる。絆はゆれる。魂はゆれる。記憶はゆれる。万物の決定的普遍を、鮮やかにもぎとったこの作品に出逢うとき、私たちの心もゆれる。
text:相田冬二

見たことのないオダギリジョー、
香川照之がそこにいる
何はともあれ、まず見るべきは兄弟に扮したオダギリジョーと香川照之の競演。弟役のオダギリは、静謐な凶暴さをより深化させた肌合いで代表作と呼んでいい演技を披露して圧巻。また、これまでも人間の弱さと強さを渾然一体のものとして体現してきた香川は、その極みともいうべき芝居でこの兄役を見せ、豊かなセッションを刻む。

『ゆれる』監督・脚本・原案:西川美和 出演:オダギリジョー/香川照之/伊武雅刀/新井浩文/真木よう子 配給:シネカノン 上映時間:1時間59分 7月8日(日)より、渋谷アミューズCQNほかにて公開。


西村美和監督
Profile
1974年、広島生まれ。大学在学中に是枝裕和監督に見出され、『ワンダフルライフ』のフリースタッフとして参加。以降、さまざまな日本映画の現場で活動したのち、宮迫博之主演のブラック・コメディ『蛇イチゴ』('02)で、監督デビュー、高く評価される。
Message
初めはたったひとりで書き始めた脚本でしたが、オダギリジョーさんと香川照之さんという素晴らしい俳優を主役に迎えて、予想していた以上に生々しく、激しく、そして温かな兄弟の物語をつむぐことが出来ました。こうしていち早く皆さんに見て頂くのを、私もかたずを飲んで見守っています。どうぞ楽しんでください。くれぐれもお手柔らかに(笑)。
©2006「ゆれる」製作委員会
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