
身に覚えのある場面のあまりの多さに心がざわざわしてしまい、穏やかに観ていることは絶対に無理。『ストロベリーショートケイクス』にはタイプの違う4人の女性たちの恋と日常が描かれているが、自分に似た誰かが見つかるというよりも、彼女たち全員のなかに自分がいる。だから、ただの女の子として消費されていく現実と格闘した経験のある人ならきっと、正視していられない気分になるのではないだろうか。
ひとりの男を思い続けているデリヘル嬢、失恋してもさっぱりと日常を生きるフリーター、当たり前のように恋人に依存してしまうOL、器用に俗世を流れていけない拒食症のイラストレーター。4人はそれぞれの幸せを探して、変わりばえのしない毎日を生きている女たちだ。
女として見られていないことを意識しながら好きな男と会い続ける健気さ、女友達を辛辣に批判したりするくせに、実は自分にない特質にうらやましさを感じていたりするややこしさ。矢崎仁司監督はそんな彼女たちの愛らしさと重たさを丸ごと受けとめている。ふわふわといまにも空気に溶けてしまいそうなイチゴのショートケーキにそっと触れるように、けれども生々しい瞬間のすべてを見届ける覚悟と粘り強さをもって、彼女たちに向き合っている。だからこそ、4人の心の周波数が海辺で重なるラスト、“痛々しいラヴ”はさわやかに救済されるのだ。