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『ストロベリーショートケイクス』について語り合いました
2006年9月12日(火) TOKYO FM HALL(半蔵門) ゲスト=矢崎仁司監督、池脇千鶴
Evolution J film

 魚喃(なななん)キリコの人気コミックを映画化した『ストロベリーショートケイクス』は、4人の女性の生々しい心情を、原作同様リアルに繊細に描いていて、多くの女性の共感を呼び起こす仕上がり。矢崎仁司監督とヒロインのひとりを演じた池脇千鶴を招いて行われたトークも、ふたりの4人に対する思い、池脇さんの女性観や恋愛観が垣間見られる興味深いひと時となりました。


「私の役がブレなければ、映画も面白く回っていくと思った」(池脇)

Q:マンガを映画化する際に苦労したことは?
矢崎:僕の映画はストーリーを物語るのではなく、大好きな人をみなさんに紹介するようなもの。今回も、僕が原作を読んで愛おしくなった4人の女性をみなさんに紹介したかったんです。
Q:池脇さんは何に惹かれて出演を決めました?
池脇:単純に台本が面白くて。読み終えたときに、すでにひとつの映画が私の中で出来上がったような感じだったんです。しかも、里子の役でのオファーが嬉しかったんですね。里子は大失恋を乗り越えて強くなった人で、どんどん変わっていく他の3人と違って変わらない。それで、この子は軸となる人物で、里子がブレなければ、映画が面白く回っていくと思ったんです。
矢崎:池脇さんはホン(台本)を読む力がスゴくて、感情の確認をする必要がないんです。それと、ほとんど独り言(の台詞)なのに、寂しさや強さ、陰が見えるのがスゴいと思いますね。
Q:他の3人についてはどう思いましたか?
池脇:秋代さん(中村優子)が口実を作ってまで好きな人に会いに行く切なすぎる片想いも分かるし、ちひろ(中越典子)は女の醜い部分をさらけ出してて嫌いだったけど、この映画を3回観て、いちばん可愛いかもしれないって思うようになって。ちひろって、いちばん辛いときに絶対に笑ってた。でも、見えないところでは泣いてたんですよ。それで、ラストの塔子(岩瀬塔子)とのシーンで、この子がいちばん生きる術を知っていたんだと気づいたらすごく感動して、愛おしくなったんです。あと、ひとりで必死に戦っている塔子に関しても、同じように職を持つ女性としてとても共感できましたね。
Q:いちばん好きなシーンはどこですか?
矢崎:すごくたくさん撮影して、すごくカットしてるから、好きなシーンだけが残っています。
池脇:最後に私が「恋でもしたいっすね」って言った後、真っ暗になって歌が聴こえるところ。やっとみんなが救われて、歌でひとつになったんだって思うと、今でも涙が出てくるんですよ。

『ストロベリーショートケイクス』は、
シネ・アミューズほかにて上映中
司会:相田冬二
文:イソガイマサト
PHOTO:星野洋介
ポスター

4人の女性たちの“痛々しいラヴ”をさわやかに救済
ポスター 身に覚えのある場面のあまりの多さに心がざわざわしてしまい、穏やかに観ていることは絶対に無理。『ストロベリーショートケイクス』にはタイプの違う4人の女性たちの恋と日常が描かれているが、自分に似た誰かが見つかるというよりも、彼女たち全員のなかに自分がいる。だから、ただの女の子として消費されていく現実と格闘した経験のある人ならきっと、正視していられない気分になるのではないだろうか。
 ひとりの男を思い続けているデリヘル嬢、失恋してもさっぱりと日常を生きるフリーター、当たり前のように恋人に依存してしまうOL、器用に俗世を流れていけない拒食症のイラストレーター。4人はそれぞれの幸せを探して、変わりばえのしない毎日を生きている女たちだ。
 女として見られていないことを意識しながら好きな男と会い続ける健気さ、女友達を辛辣に批判したりするくせに、実は自分にない特質にうらやましさを感じていたりするややこしさ。矢崎仁司監督はそんな彼女たちの愛らしさと重たさを丸ごと受けとめている。ふわふわといまにも空気に溶けてしまいそうなイチゴのショートケーキにそっと触れるように、けれども生々しい瞬間のすべてを見届ける覚悟と粘り強さをもって、彼女たちに向き合っている。だからこそ、4人の心の周波数が海辺で重なるラスト、“痛々しいラヴ”はさわやかに救済されるのだ。
text:相田冬二

女性の痛々しい心情を
鋭く見つめる魚喃キリコ
同世代の女性たちから圧倒的な支持を得ている漫画家、魚喃キリコ。'93年に『ガロ』でデビューして以来、淡々としたタッチで女の子のリアルな心情と恋模様を描き続けている。『blue』は市川実日子主演で映画化もされた。今回は小説家の狗飼恭子が脚本を執筆、魚喃キリコ自身が大ファンだという矢崎仁司監督によって映画化が実現した。

『ストロベリーショートケイクス』監督:矢崎仁司 原作:魚喃キリコ 出演:池脇千鶴/中越典子/中村優子/岩瀬塔子 配給:アップリンク 上映時間:2時間7分 9月30日(土)より、シネ・アミューズほかにて公開


矢崎仁司監督
Profile
'80年『風たちの午後』でデビュー。海外の映画祭で高い評価を得る。『三月のライオン』('91年)では、ベルリン映画祭を始め、ベルギー王室主催「ルイス・ブニュエルT黄金時代U賞」受賞。『花を摘む少女と虫を殺す少女』('00年)を発表。
Message
こんなにすごい映画を作って頂いたスタッフ、キャストの皆さんとの素晴らしい出会いに感謝します。僕は、観終わった後、元気の出る映画を志しています。ふと落ち込んだとき、会うとちょっと元気になる友達がいます。そんな風にこの映画の池脇千鶴さん、中越典子さん、中村優子さん、そして岩瀬塔子さんに出会ってください。きっと、元気になりますよ。
©2006ストロベリーショートケイクス・パートナーズ
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