
岩井俊二が初めて自身の監督作以外でプロデュースを手がけた本作は、“コラボレーション”の意味をあらためて深く考えさせる1編に仕上がっている。小説家、桜井亜美の原案を基に、『スワロウテイル』のメイキングプロデュースを手がけた過去を持つ熊澤尚人に演出を託す。オリジナルなシナリオとディレクションで疾走してきたクリエイターがついに挑んだ“ものづくりのリレー”は、作品世界に息づいている普遍的な主題にも深く関わっているのだろう。
不思議な虹を見た。ケータイで撮って送信する。さらに電話も。だが、相手は留守電中。日常のリアルと、独自の情感、来るべきドラマ性とがないまぜになった冒頭、まず映画に引き込まれる。誰もが覚えている、心の感触。伝えたいと思ったとき、伝えたい相手が不在であることの喪失感、やるせなさ。微細な感情の揺れが、大きく確かな何かに成長していく様を、全6章形式で紡ぎ出す。
学生時代、共に映画を作っていた男の子と女の子。すれ違い続けるふたりの行方を、現在と過去とが何度もバトンタッチされるように見つめていく。いわゆる回想形式でも、単にノスタルジックな筆致でもない語りが、あなたの記憶の扉をやさしく開く。そこに眠っているのは“忘れようとしていた自分”。私たちの人生もまた過去と現在のコラボレーションであることを実感させ、豊かな余韻を運んでくれる作品だ。