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『虹の女神/Rainbow Song』について語り合いました
2006年10月23日(月) スペースFS汐留 ゲスト:熊澤尚人監督
Evolution J film

 『Love Letter』『花とアリス』などで知られる、岩井俊二監督の初プロデュース作品『虹の女神/Rainbow Song』。岩井と原案・脚本の作家、桜井亜美による大切な人の死をきっかけに生まれた物語を、切なくも永遠の輝きを放つ美しい恋愛映画へと昇華させた熊澤尚人監督(『ニライカナイからの手紙』)が、この日のトークで製作のプロセスやキャストについて話してくれました。


「岩井さんには『映画的な空気感を大切にして欲しい』と言われました」

Q:今回は岩井監督から直々に監督の依頼が?
熊澤:そうです。それで、素晴らしいホン(脚本)だったし、「ぜひ、やりたい」って言いました。岩井さんはいま、年の半分ぐらいはロサンゼルスにいて、そのときも国際電話でちょっとしたやりとりをしただけなんですが、「映画的な空気感を描ける監督を探していたので、そこを大切にして欲しい」と言われましたね。
Q:キャスティングについて教えてください。
熊澤:(主人公の)智也を演じた市原(隼人)くんは、実は僕が監督に決まる前からこのホンを読んでいて、「この役をどうしてもやりたい」って言ってたんです。そのころ彼は『チェケラッチョ!!』の撮影中だったんですが、ちょっと待っていたらスケジュールが空いたのでラッキーでした。今回一緒にやってみて、『リリイ・シュシュのすべて』のいい部分を残したまま、いい形で大人になったなって思いましたね。
Q:あおい役の上野樹里さんについては?
熊澤:上野樹里ちゃんは綺麗なだけじゃなくて、地に足がついてるし、少し猫背で飾らない女優さん。そこがあおいにピッタリだったんです。
Q:あおいの妹・かな役の蒼井優さんは?
熊澤:かな役は難しい役なので、なかなかしっくりくる人が見つからなくて。それで、優ちゃんに来てもらうしかないなと思ってお願いしたんですが、素晴らしくよかったですね。
Q:時代背景はどの時代に設定したんですか?
熊澤:青春をノスタルジックに描いた映画ってたくさんあるけど、僕はそうしたくなくて。いまの大学生にも自分たちの話だと思って欲しかったし、30代、40代、50代の人たちが見ても、自分の学生時代はこんな感じだったよなって思える映画になったら嬉しいなと思っていたので、敢えて何年の話か分からないように作りました。
Q:映画の構成を「章立て」にした意図は?
熊澤:現代と過去を行き来する際に、「章立て」にすることで、映画が描かなかった物語やあおいの想いなどの行間が生まれると思ったんです。

『虹の女神/Rainbow Song』は、
TOHOシネマズ六本木ヒルズほかにて上映中
司会:相田冬二
文:イソガイマサト
PHOTO:星野洋介
ポスター

誰もが覚えている心の感触を全6章で紡ぎ出す
ポスター 岩井俊二が初めて自身の監督作以外でプロデュースを手がけた本作は、“コラボレーション”の意味をあらためて深く考えさせる1編に仕上がっている。小説家、桜井亜美の原案を基に、『スワロウテイル』のメイキングプロデュースを手がけた過去を持つ熊澤尚人に演出を託す。オリジナルなシナリオとディレクションで疾走してきたクリエイターがついに挑んだ“ものづくりのリレー”は、作品世界に息づいている普遍的な主題にも深く関わっているのだろう。
 不思議な虹を見た。ケータイで撮って送信する。さらに電話も。だが、相手は留守電中。日常のリアルと、独自の情感、来るべきドラマ性とがないまぜになった冒頭、まず映画に引き込まれる。誰もが覚えている、心の感触。伝えたいと思ったとき、伝えたい相手が不在であることの喪失感、やるせなさ。微細な感情の揺れが、大きく確かな何かに成長していく様を、全6章形式で紡ぎ出す。
 学生時代、共に映画を作っていた男の子と女の子。すれ違い続けるふたりの行方を、現在と過去とが何度もバトンタッチされるように見つめていく。いわゆる回想形式でも、単にノスタルジックな筆致でもない語りが、あなたの記憶の扉をやさしく開く。そこに眠っているのは“忘れようとしていた自分”。私たちの人生もまた過去と現在のコラボレーションであることを実感させ、豊かな余韻を運んでくれる作品だ。
text:相田冬二

市原隼人×上野樹里×蒼井優
若手3人の絶妙なコラボ
岩井俊二の『リリイ・シュシュのすべて』でデビューした市原隼人が恋愛鈍感男子の愛すべきキャラクターを絶妙に演じ、上野樹里がこれまでのコメディエンヌ的イメージを脱ぎ捨てて切ない乙女心を意固地なボーイッシュぶりで精緻に体現。そこに『リリイ…』『花とアリス』の蒼井優が加わり、演技的にも充実のコラボレーションが実現。

『虹の女神/Rainbow Song』監督:熊澤尚人 製作:岩井俊二/橘田寿宏 原案:桜井亜美 出演:市原隼人/上野樹里/蒼井優 配給:東宝 上映時間:1時間57分 10月28日(土)よりTOHOシネマズ 六本木ほかにて公開


熊澤尚人監督
Profile
1967年生まれ。『スワロウテイル』『リング』などのプロデュースに携わる傍ら、自主映画の監督を続け、'05年に『ニライカナイからの手紙』で長編デビュー。最近作では今夏公開の『親指さがし』も好調、ますます注目を浴びている。
Message
桜井さん、岩井さんから強い想いがこもった素晴らしい脚本を受取り、素敵な俳優陣に恵まれ、幸福でした。僕もこの映画『虹の女神…』の主人公たちと同じように大学時代に8ミリ映画を作っていたので、なおさら彼らへの愛情がわいてきます。『虹の女神…』は普段なかなか気付けない大切な気持ち、そんな気持ちに気付かせてくれる映画だと思います。
©2006「虹の女神」製作委員会
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