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周防正行監督が、新作『それでもボクはやってない』を熱く語った
2006年12月19日(火) 大阪・リサイタルホールにて ゲスト:周防正行監督
Pia special preview

 『Shall we ダンス?』の周防正行監督が、11年ぶりにメガホンを撮った話題作『それでもボクはやってない』。先日、本作のティーチイン付き試写会が大阪で実施。「痴漢冤罪」という現代が抱える問題について、監督と読者が繰り広げた熱い議論の様子をお伝えします!


読者:今回、なぜ「痴漢冤罪」というテーマを選んだんですか?
監督:4年前、東京地裁で有罪になった痴漢事件の被告人が、その後の裁判で無罪になったという新聞記事を見つけたのがきっかけです。そこで引っかかったのは、被告人の同僚たちが弁護士と一緒に2年間戦ったということ。今まで全く裁判を知らない人たちが、どうやって戦い、無罪を勝ち取ったのか? 彼らの話を聞いてみたいと思ったのが始まりでした。
読者:難しい内容の作品ですが、面白く観せようとした工夫などはありますか?
監督:今回は、面白い映画とか良い映画を作ろうとは思わなかったんです。僕はこの映画のために200回くらい傍聴に行ったんですけど、その度に驚き、苛立ち、時に絶望を感じました。今の日本の刑事裁判は分からないことばかりですし、「疑わしきは罰せず」なんて謳ってますけど、例え無実でも無罪の立証が出来なければ帰れないんです。そんな現状を伝えたかったので、リアルに描くことに専念しました。「分からないことを分かりやすく」っていう作業を重ねたんです。だから皆さんに「面白かった」と言われると、映画って不思議って思いますね。
読者:私たちが映画を観て感じた苛立ちは、どこにぶつければ良いですか?
監督:もう一度、友達と一緒に観に来て下さい(笑)。というのも、もうすぐ皆さんが実際に法廷に足を運ぶ時代がやって来ますよね。その時に一番恐いのは、無実の人の証拠を勝手に自分で補って有罪にしてしまうこと。だから、そんな時はこの映画のことを思い出して頂いて、少しでも分からないことがあれば「何で?」と聞いて下さい。そうすれば、日本の司法は変わるかもしれない。

ポスター

“裁判オタク”と化した監督が放つ新しい法廷エンタテインメント
 周防正行といえば、学生相撲の世界を描いた出世作『シコふんじゃった。』や、社交ダンスブームを巻き起こし、ハリウッド・リメイクもされた大ヒット作『Shall we ダンス?』など、ウェルメイドなコメディを生み出してきた監督だ。
 ユニークな題材を料理してきた周防監督が11年ぶりに発表した最新作『それでもボクはやってない』のモチーフは、ズバリ“日本の裁判”。痴漢冤罪に関する新聞記事を読み、「疑わしきは罰せよ」の現状に疑問を抱いた日から約3年。徹底的なリサーチを重ねて“裁判オタク”と化した周防監督がその知識のすべてを注ぎ込み、まったく新しい法廷エンタテインメントを生み出した。
 通勤電車で痴漢に間違えられた青年を演じるのは、あくまで“普通”なたたずまいと生っぽい表情が、問題をより身近に感じさせる加瀬亮。観る者が裁判に関するあらゆるトリビアを他人事やお勉強モードではなく、リアルな問題として追体験するために彼が果たした役割は大きい。
 ハリウッドの法廷もののようにドラマチックな演出にたやすく逃げる事無く、裁判の入口から出口までを誠実に描写することで2時間23分を一気呵成に見せ切る斬新な社会派映画を完成させた周防監督。だからこそこの作品は、観客ひとりひとりが、“日本の裁判”を“自分の裁判”として受けとめ、考えるための最良のテキストになるはずだ。
text:細谷美香

周防監督が投げかけた
日本の裁判に対する疑問
二審で逆転無罪を勝ち取った痴漢事件のリサーチを重ねるうち、「被告人がどう闘ったか」よりも、日本の裁判制度のあり方についての疑問を抱くようになったという周防監督。なぜ「疑わしきは罰せず」の理想が崩れさってしまうのか、監督の検証と考察のすべてがここに! 2009年にはじまる裁判員制度を前に、いま観るべき映画だ。

監督・脚本:周防正行 製作:亀山千広 出演:加瀬亮/瀬戸朝香/山本耕史/もたいまさこ/役所広司
配給:東宝 上映時間:2時間23分 1月20日(土)より、シャンテ シネほかにて公開


周防正行監督
Profile
1956年生まれ。'84年『変態家族・兄貴の嫁さん』で監督デビュー。以降、'89年の『ファンシイダンス』'92年の『シコふんじゃった。』と作品ごとに評価が高まり、'96年の『Shall we ダンス?』はハリウッド・リメイクもされた。
Message
普段の生活の中で、僕が驚き興味を持ったことを皆に伝えたい、というのが映画を発想する出発点です。今回は、痴漢冤罪事件の逆転無罪を伝える新聞記事に興味を持ったことが発端でした。しかし、取材を進めるうちに冤罪を生み出した裁判のあり方そのものについて多くの疑問がわいてきました。日本の刑事裁判について今一度考えてみたい。そう思ってこの映画を作りました。
©2006‐2007フジテレビジョン/アルタミラピクチャーズ/東宝
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