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『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』を
              松岡錠司監督と読者で語り合う!
2007年3月29日(木) リサイタルホール(大阪) ゲスト:松岡錠司監督
Evolution J film

 3月29日(木)にリサイタルホールで行われた、ぴあシネマプレビュープラス試写会『東京タワー…』(主催:ぴあ関西版/協賛:マイワーク)。松岡監督と読者によるティーチ・インも実施され、熱気ムンムンだった当日の様子をお届けします!


読者:監督をすることになった経緯は?
監督:原作に感銘を受け、映画化されるなら監督をやりたいと思ってたんです。それでコネもないからリリーさんのサイン会で「監督候補の中に僕を入れて下さい!」って直接言いに行きました。「縁があれば」っていう返事をもらったんですけど、それからしばらく音信不通で。だからもう、僕ごときでは無理なんだと1回諦めてたくらい(笑)。だから正式にオファーが来た時は実感が湧かなくって、まるで他人事のようでしたね。
読者:樹木希林さんと内田也哉子さんの親子共演は狙いですか?
監督:まず樹木さんの方から「オカン役をやりたい」と言ってくれたんです。声の質に、まったりとした雰囲気が新鮮で、すぐに若い頃のオカン役に内田さんを思い浮かべ、出演をお願いしたんですけど「ちょっとだけ考えたい」って返されちゃって。それで彼女は樹木さんに相談したのに、「あなたが決めなさい。私は一切関係ない」と言われて余計に悩んだらしい(笑)。推測なんだけど内田さんが出演を決めたのは、樹木さんへの一生に1度の親孝行のつもりなんじゃないかな。
読者:オカンの闘病シーンが印象的だったんですが、監督の演出ですか?
監督:あれね、僕には物足りないくらい。樹木さんからは「こんなの延々とさせて、ほんとに観客が観たいって思うの?」って言われたんですけど、説得して脚をギュ〜ッと曲げてもらった。観る人がキツイからって苦しいところを削るのは、一生懸命に生きたオカンに失礼だと思ったし、後の感動も薄くなるしね。でも、皆さんの涙を誘うためだけに作ったんじゃない。作品に込めた、人が精一杯生きて死ぬっていうことを「それでいいんだ」っていう思いが伝わればと思います。

『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』
梅田ピカデリーほかにて公開中
ポスター

“終わること”よりも“終わらないこと”にまなざしを注いだ意欲作
 本屋大賞受賞も、かなり過去の出来事のよう。名匠、久世光彦が“最後の作品”として手がけた単発スペシャルドラマ、そして現在放映中の速水もこみち主演の連続ドラマ。もはや日本中で知らぬ者がいなくなりそうな勢いの一大ベストセラーが、いよいよ映画版として登場する。
 リリー・フランキーの限りなく自伝に近いこの小説は、タイトル通り母親と息子のつながりを真っ直ぐに紡いだ物語。オカンの死期を悟ったボクが故郷から東京に呼び寄せ、ふたりで暮らす。ただそれだけのシンプルな内容であるにもかかわらず、「ひらかなで書かれた聖書」(久世光彦)などと絶賛され、多くの人を感涙させた。
 脚本を手がけるのは俳優、監督として、映画フィールドでも活躍する日本を代表する演劇人、松尾スズキ。そしてメガホンをとるのは『バタアシ金魚』『きらきらひかる』『私たちが好きだったこと』と、これまでも名著を映画として昇華する誠実な手腕に定評がある松岡錠司。リリーと同年代である松尾と松岡のコラボレーションは、人間の生き死にを扱いながらも、劇的さよりも日常性、“終わること”よりも“終わらないこと”にまなざしを注ぎ、深く染み入る普遍性のある作品を完成させた。主演のオダギリジョーをして、「『ゆれる』に続き、またしても役者として大きな区切りを迎えた」と断言させる1作。どうかお見逃しなく。
text:相田冬二

樹木希林と内田也哉子
親子の話で本物の親子競演
親子の情を描くこの映画はサプライズな親子競演も実現している。オカンを演じるのは名優、樹木希林だが、若き日のオカンに樹木の実の娘で、これが演技初体験となる内田也哉子が扮しているのだ。演技の質もキャリアもかけ離れているのに、なぜかしっかり“つながる”映画のマジック。“親子×親子”の隠し味、こちらにもご注目を。

監督:松岡錠司 原作:リリー・フランキー 脚本:松尾スズキ 出演:オダギリジョー/樹木希林/内田也哉子/松たか子/小林薫 配給:松竹 上映時間:2時間22分 4月14日(土)より、丸の内ピカデリー2ほかにて全国公開


松岡錠司監督
Profile
1961年、愛知県生まれ。高校時代より8ミリ作品を撮り始め、'81年PFFに入選。望月峯太郎のコミック『バタアシ金魚』('90)や江國香織の『きらきらひかる』('92)の映画化で内外から注目を集める。ほかの監督作に『さよなら、クロ』('03)など。
Message
『東京タワー/オカンとボクと、時々、オトン』を、ようやく皆さんのもとへ届けることが出来ます。大げさに言えば全身全霊、遠慮気味に語っても七転八倒(七転び八起きではありません)、とにかく自分の力をある限り絞り出し、こしらえた作品です。母親が無償の愛を息子に与えるそれだけの話が、生きることの意味を深く問いかけるまでに至るという偉大な小説を、映画としてどれほどのものに仕上げたか確かめてください。この作品を皆さんの心の奥底に静かに忍ばせることが僕のたくらみです。
©2007「東京タワー 〜o.b.t.o〜」製作委員会
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