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『東京タワー』をひっさげ故郷で凱旋
            松岡錠司監督ティーチインレポート
2007年3月30日(金) ピカデリー6(名古屋) ゲスト:松岡錠司監督
Evolution J film

 3/30(金)ピカデリー6で開催された第2回「ぴあスペシャルプレビューPLUS suported by マイワーク」。今回は、松岡錠司監督を招いての『東京タワー』(4/14(土)〜ピカデリー他にて公開)ティーチイン試写会だった。


 原作リリー・フランキー、脚本松尾スズキ、そして主演はオダギリジョーという錚々たる顔ぶれについて、
観客A「(出演者や裏方が)豪華メンバーなので、ご苦労もあったのでは?」
松岡「凄いスタッフ、キャストが集まる時って言うのは、パズルが合うようにスムーズに全ての準備が噛み合って行くもので……。ちなみにオダギリ君は“岡山に母を置いて東京で働く息子として、この役は辛過ぎる”って理由で、この役断ろうとしてたんだけど、原作読み終わった母親に“ぜひ出て欲しい”と言われて出演を決めた。“裏東京タワー”ですよ(笑)」
観客B「演出で苦労したことは?」
松岡「演出というか、リリーが自分を削って書いた原作をとにかく忠実に映画にしたかった。原作読んだ時、そこに人生の時間というものを感じて、それを映画で表現したかったから」
 地元一宮出身の監督の本気の言葉に感涙する観客もいた会場だった。

  ポスター

“終わること”よりも“終わらないこと”にまなざしを注いだ意欲作
 本屋大賞受賞も、かなり過去の出来事のよう。名匠、久世光彦が“最後の作品”として手がけた単発スペシャルドラマ、そして現在放映中の速水もこみち主演の連続ドラマ。もはや日本中で知らぬ者がいなくなりそうな勢いの一大ベストセラーが、いよいよ映画版として登場する。
 リリー・フランキーの限りなく自伝に近いこの小説は、タイトル通り母親と息子のつながりを真っ直ぐに紡いだ物語。オカンの死期を悟ったボクが故郷から東京に呼び寄せ、ふたりで暮らす。ただそれだけのシンプルな内容であるにもかかわらず、「ひらかなで書かれた聖書」(久世光彦)などと絶賛され、多くの人を感涙させた。
 脚本を手がけるのは俳優、監督として、映画フィールドでも活躍する日本を代表する演劇人、松尾スズキ。そしてメガホンをとるのは『バタアシ金魚』『きらきらひかる』『私たちが好きだったこと』と、これまでも名著を映画として昇華する誠実な手腕に定評がある松岡錠司。リリーと同年代である松尾と松岡のコラボレーションは、人間の生き死にを扱いながらも、劇的さよりも日常性、“終わること”よりも“終わらないこと”にまなざしを注ぎ、深く染み入る普遍性のある作品を完成させた。主演のオダギリジョーをして、「『ゆれる』に続き、またしても役者として大きな区切りを迎えた」と断言させる1作。どうかお見逃しなく。
text:相田冬二

樹木希林と内田也哉子
親子の話で本物の親子競演
親子の情を描くこの映画はサプライズな親子競演も実現している。オカンを演じるのは名優、樹木希林だが、若き日のオカンに樹木の実の娘で、これが演技初体験となる内田也哉子が扮しているのだ。演技の質もキャリアもかけ離れているのに、なぜかしっかり“つながる”映画のマジック。“親子×親子”の隠し味、こちらにもご注目を。

監督:松岡錠司 原作:リリー・フランキー 脚本:松尾スズキ 出演:オダギリジョー/樹木希林/内田也哉子/松たか子/小林薫 配給:松竹 上映時間:2時間22分 4月14日(土)より、丸の内ピカデリー2ほかにて全国公開


松岡錠司監督
Profile
1961年、愛知県生まれ。高校時代より8ミリ作品を撮り始め、'81年PFFに入選。望月峯太郎のコミック『バタアシ金魚』('90)や江國香織の『きらきらひかる』('92)の映画化で内外から注目を集める。ほかの監督作に『さよなら、クロ』('03)など。
Message
『東京タワー/オカンとボクと、時々、オトン』を、ようやく皆さんのもとへ届けることが出来ます。大げさに言えば全身全霊、遠慮気味に語っても七転八倒(七転び八起きではありません)、とにかく自分の力をある限り絞り出し、こしらえた作品です。母親が無償の愛を息子に与えるそれだけの話が、生きることの意味を深く問いかけるまでに至るという偉大な小説を、映画としてどれほどのものに仕上げたか確かめてください。この作品を皆さんの心の奥底に静かに忍ばせることが僕のたくらみです。
©2007「東京タワー 〜o.b.t.o〜」製作委員会
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