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『魍魎の匣』について語り合いました
12月27日(月)スペースFS汐留(東京・新橋)18:00開場〜
ゲスト:原田眞人監督
Evolution J film

 500万部を超える京極夏彦の最高傑作を映画化した『魍魎の匣』は、原作者本人も驚いたという大胆なアプローチに目をみはる超高速展開サスペンス。膨大な原作を自ら脚色した、原田眞人監督を招いたこの日のトークでも、映画化に際してのアレンジの仕方に質問が集中。それに丁寧に答える監督の生のコメントから、意外な真実と映画作りの実情を知ることができました。

「“匣館”を原作通りに作るとお金がかかるから大きくしようと思った」

Q:京極夏彦さんの膨大な原作を、どこにポイントを置いて脚色していったんでしょうか?
原田:原作の面白いところを見ていくと、京極堂(堤真一)がその情報量で相手をやり込めていくシーンだったり、ひとつひとつのシーンが長くなる。それで最初に榎木津(阿部寛)、それから関口(椎名桔平)とリレーをするみたいな形で話を進めて、京極堂が途中からリリーフしてクローザーまで務める形を考えたんです。
Q:原作と異なるサイバーなヴィジュアル・イメージは、どこから生まれたんですか?
原田:サイバーな印象を持つのは、最後の“匣館”の内部が原作と違うことや、巨大なスペースになってることが大きいと思うんだけど、それに関していうと、原作通りの“匣館”を作ろうと思うと逆にお金がかかるから。それで大きくすることを思いついた。実際には、あの“匣館”は外観と内部を含め、栃木県と千葉県と日活撮影所など6、7ヵ所で撮影しています。そうすることで映画に広がりが出ると思ったんです。
Q:映画のポイントをどこに置いたのですか?
原田:最初に原作を置いてパカッと開いたページから読んだんだけど、それがほぼ真ん中あたりの寺田兵衛(大森博史)と京極との対決シーン。これが面白かったし、京極堂シリーズのヘソだと思ったんです。だから、あの寺田兵衛の“御筥教”の道場のシーンだけは「絶対に妥協しないゾ! 俺を納得させるロケ場所を探してこい!」とロケーション・マネージャーに言って、最終的には水戸の講道館になったんですね。
Q:今回の映画化で最も大変だったことは?
原田:スケジュール調整ですね。例えば、木場(宮迫博之)が加菜子(寺島咲)を見に行かなくて、青木(堀部圭亮)だけ行かせるのもスケジュールの問題。要するに、“匣館”の内部を撮影した12月と1月は、年末年始の番組の収録で宮迫のスケジュールが全然空かなくて。それで、木場がスネちゃって行かないことにしようよっていう、あの展開になったんですよ(笑)。

12月22日(土)より、渋谷東急ほかにて公開 司会:相田冬二
文:イソガイマサト
PHOTO:星野洋介

一分の隙もなく楽しませる絢爛たる映術ショー
 これが品、これが粋。ゴージャスにして軽快、流麗にしてパッショネイト。『魍魎の匣』は、映画を“観劇する”歓びを存分に味わわせてくれる。
 たとえば。堤真一、阿部寛、椎名桔平。いずれも1964年生まれ、同い年の3大俳優が一堂に会して、機知に富んだおしゃべりを繰り広げる。あるいは。宮藤官九郎が前例のない謎の男に扮してグロテスクに暗躍し、荒川良々が飛び道具のように食い込んでふいに物語を躍動させる。
 けれども豪華キャストなど、本作の見どころのほんの一端にすぎない。京極夏彦の同名小説を巧みに料理しまくった、奔放にして簡潔な映像文体に私たちはまず魅せられるだろう。美少女連続殺人が、奇怪な教団の壮大かつ無謀な計画へとつながっていく事件の連鎖に呼応するかのように、まるでバトンをリレーするように主体が次々に入れ替わっていく語りの筆致。先行き不明のジェットコースターに乗せられたようにワクワクドキドキさせられながら、ここぞというときに繰り出される“とっておきのカード”に興奮、拍手喝采せずにはいられない。名うてのマジシャンがところ狭しと爆発させる絢爛たる魔術ショーのごとく、原田眞人監督は一分の隙もなくとことん愉しませる。
 ここまで贅沢で良いのだろうか?いいのだ、なぜならこれは映画なのだから!まるで映画自身がそんなふうに宣言しているような、輝きに満ちた1作である。
text:相田冬二

上海でのロケが生んだ日本でも中国でもない雰囲気

舞台は、昭和27年の東京。だが、本作の多くは上海撮影所とその近辺で撮影されている。その風景は、日本でもなければ中国でもない、まさに映画ならではのフィクショナルなもの。これは“過去”を再現する方法論に、真新しい批評性を加えた21世紀流のアプローチ。“無国籍より多国籍”を標榜する原田監督らしい、映像造型である。

監督・脚本:原田眞人 原作:京極夏彦 テーマ曲:東京事変 出演:堤真一/阿部寛/椎名桔平/田中麗奈/黒木瞳 配給:ショウゲート 
上映時間:2時間13分 12月22日(土)より、渋谷東急ほか全国にて公開


原田眞人
Profile
'49年静岡県生まれ。映画ジャーナリストとして活動後、'79年に『さらば映画の友よ インディアンサマー』で監督デビュー。以降『バウンス koGALS』『金融腐列島・呪縛』『突入せよ!『あさま山荘』事件』など、エンタメ作から社会派まで多くの作品を手がける。
Message
脚本の段階から中国ロケをしたいと思っていた。'05年に出演した『SPIRIT』で、上海のオープンセットの良さが分かっていたからね。群衆シーンや古都の街並にも注目してほしい。衣裳、小道具、音楽にもこだわってます。日本から上海まで、空間のパズルが広範囲にわたっていて、総カット数は過去最高の2300カット。チーム一丸で誇れるものを作ったという点で、“マイ・ベスト”作品になったんじゃないかな。
©2007『魍魎の匣』製作委員会
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