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『奈緒子』について語り合いました
1月18日(金)スペースFS汐留(東京・新橋)18:00開場〜
ゲスト:古厩智之監督
Evolution J film

 伝説の駅伝コミックを映画化した『奈緒子』は、タイトルロールを演じた上野樹里と天才ランナー・雄介に扮した三浦春馬の素晴らしい演技、ふたりの距離感が作り上げる空気に息をのむ感動の青春ムービー。古厩智之監督を迎えたこの日のトークでも、映画を観終わったばかりで感動の余韻に浸る観客からキャスティングに関する質問が次々飛び出し、大いに盛り上がりました。

「樹里ちゃんの揺れる様を撮っててこれは映画になるかもって思った」

Q:自主製作で『走るぜ』('93)という映画も撮られていますが、走ることに特別な想いが?
古厩:日本で(リアルに)できるアクションは走ることしかないと思っていて。その運動自体が好きで、それを見たいというのもあります。
Q:この作品でも、(奈緒子役の)上野樹里さんが(駅伝走者・雄介役の三浦春馬に)水を渡そうとする時のふたりの表情が素晴らしいですね。
古厩:あれは日が落ちる時間帯だったので、春馬側1回、樹里ちゃん側1回しか撮ってないんですよ。でも、樹里ちゃんは“ここは私のシーンだわ”って掴むんです。カメラに迫ってきてビックリしましたよ。すごい集中力なんです。
Q:監督が本気モードに持っていくんですか?
古厩:いやいや、樹里ちゃんはいつも本気モード。常に120%なんですよ。80%でやってる人がいたら、彼女は怒ります。
Q:そもそも、上野さんを起用した理由は?
古厩:彼女がやるなら観たいと思える役者さんは少ないけど、樹里ちゃんはその中の貴重なひとり。それに、彼女も今までとは違う(シリアスな)役をやりたがってると知って、そのまったく違うことに挑戦するのに立ち合いたいと思ったんです。しかも実際にやってみたら、今回はほとんどリアクションの芝居だけど、感じたものをまんま表に出して、すごい揺れる子だった。その揺れる様を撮ってるだけで面白くて、これは映画になるかもしれないと思いましたね。
Q:三浦春馬さんは上野さんとの組み合わせを考えてキャスティングしたんですか?
古厩:いや、個別です。初めて会った時に春馬はまだ『恋空』の金髪のままで、キョトンとしてたんです。キョトンとしてるってことは、目の前のことに驚くことができるってこと。タレントに汚れると、役者の癖がつき、鏡に映った自分しか見れなくなるけど、それがまったくない子だったし、雄介は天才みたいな設定だったから、逆に“雄介はキョトンとできる子なのかな?”って、春馬に教えてもらった感じですね。

2月16日(土)より、シネ・リーブル池袋ほかにて公開 司会:相田冬二
文:イソガイマサト
PHOTO:星野洋介

“走る”行為と強い“意志”が観る者を熱くする
 青春映画というと、最近はどうも、スポーツや音楽などにみんなで一生懸命打ち込むものが多い。でも、実際の青春時代はもっとモヤモヤとした感情に支配されていたりする。古厩智之監督は、カタチにとらわれる監督が多い中、そんな繊細で複雑な感情をフィルムに定着させることにこだわり続けている若手の本格派だ。
 PFFアワード'92グランプリに輝く『灼熱のドッジボール』で、主人公と転校して行く女子高生との淡い初恋と切ない別れを、最後のドッジボールの球の交換で鮮やかに描写。長澤まさみ主演の『ロボコン』(03)では、ロボットコンテストを通して、落ちこぼれ高校生たちのバラバラだった心がひとつになっていく様をスクリーンに浮かび上がらせてみせた。
 高校駅伝をモチーフに描く最新作『奈緒子』でも、「言葉にならない感情を描きたいから映画をやっている」と公言する古厩監督のまなざしは変わらない。映画は、幼いころの事故が原因でできたヒロインと天才高校生ランナーとの深い溝、駅伝部員たちの苛立ちと不協和音の変化をじっくり見つめていく。そこには、これまでの作品と同様、説明的な台詞は一切ない。あるのは“走る”行為と仲間にタスキを繋ごうとする強い“意志”。上野樹里や三浦春馬らがその肉体で伝える嘘のない感情、揺れ動く距離感が、誰もがかつて経験したであろう、ほろ苦くもかけがえのないあの時間を作り上げている。
text:イソガイ マサト

三浦春馬ほか、注目の若手俳優が
真剣に走り抜いた駅伝シーン

リアルで熱い駅伝シーンも本作の大きな見どころ。撮影前の約2カ月半にわたるトレーニングで身体と筋肉を作り、走るときの姿勢から持久力までをその肉体に叩き込んだ三浦春馬、柄本時生らの本物の“走り”に目をみはる。特に、三浦と元駅伝ランナーの綾野剛が繰り広げる、抜きつ抜かれつの最後の激走には手に汗握ること間違いなしだ。


監督・脚本:古厩智之 主題歌:ポルノグラフィティ 出演:上野樹里/三浦春馬/笑福亭鶴瓶
配給:日活 上映時間:2時間 2月16日(土)より、シネ・リーブル池袋ほかにて公開


古厩智之
Profile
'68年、長野県生まれ。『灼熱のドッジボール』がぴあフィルムフェスティバルのPFFアワード・グランプリを受賞。以降、『まぶだち』('01)『ロボコン』('03)などで青春映画の旗手として注目を集める。新作は『さよならみどりちゃん』('04)以来、3年ぶり
Message
『奈緒子』を観てくれた映画関係のお姉さん。試写室から出て、次の約束まで時間がなかった。タクシーに乗ろうかなあと一瞬悩み……えい! と走り出したそうです。京橋から新橋まで。全速力で。2キロくらいあんのかな?  約束には無事間に合ったそうです。気持ち良かったそうな。40ン歳、キレイ目な彼女を全力で走らせることが出来た! 嬉しかったなぁ。皆さんもどうか! 走れる靴で来てください。
©2008『奈緒子』製作委員会
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