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『純喫茶磯辺』について語り合いました
6月11日(水)スペースFS汐留(東京・新橋)18:00開場〜
ゲスト:吉田恵輔監督
Evolution J film

 長編デビュー作『机のなかみ』でその異才ぶりを印象づけた吉田恵輔監督。不器用な父娘と彼らの周りのひとクセもふたクセもある人たち描いた待望の第2作『純喫茶磯辺』では、そのユニークな感性がさらに開花。この日のトークで、主演の宮迫博之をはじめ、麻生久美子、仲里依紗のキャスティングの理由を語る彼の言葉にも、凡人とは違う独自の眼差しを感じることがてきました。

「麻生さんが演じることで、愛おしくて儚げな素子になるといいなと思って」

Q:麻生久美子さんが素晴らしいと思ったんですが、あのキャラクターと麻生さんの組み合わせはどのように思いつかれたんですか?
吉田:麻生さんは唯一といってもいいぐらいのアテ書きです。彼女が演じてくれた素子は、僕が今まで出会った、ちょっとつかみどころがなくて、僕を振り回して、さんざん悩ませた女の子の総集編として描いたんだけど、今になると僕はその子たちが愛おしいんですよね。だから麻生さんが演じることで、愛おしくて、儚げな素子になるといいなと思って。映画の中の素子はモゴモゴ言ってるけど、麻生さんは台本通り一語一句変えず、噛むところはちゃんと噛んでくれたりして、本当にプロフェッショナルなすごい女優さんでしたね。
Q:彼女の本質が抽出されていた気がします。
吉田:麻生さん本人も言ってるけど、彼女は死ぬ役が多い。でも僕は、そういう皮を被った、ゴキブリみたいに生命力がある女の子をやって欲しくて。麻生さんもそういう役を振ってくれたのが嬉しいって、楽しんでましたね。
Q:主演の宮迫さんはどういう経緯で?
吉田:台本を書いてからお願いできたらいいなと思って。6年間主演をやってないので、簡単にはOKはもらえないと思っていたんだけど、引き受けていただけた。ただ、思ってたより痩せてて。今回はメタボおやじにしたかったので、お腹に巻物をしてもらったんです。
司会:小池さんは過去においてひとめ惚れしかしたことないんですって。運命を勝手に感じちゃうんですって。そこにはたぶん理由はないけど、確かにそういう人は存在しているんです。
Q:仲さんについては?
吉田:仲さんは今まで美少女キャラが多かったんだけど、実は活発な子なんじゃないかな?と思ってて。で、会ってみたら、ほんとイメージ通り。でも、ブス可愛い顔ができる数少ないひとりだと思うので、今後、そういう使われ方をされないことを祈るばかりすね(笑)。
Q:表情にもバリエーションがありますね。
吉田:彼女は天才肌の人だと思います。素材がいいから、僕は煮たり焼いたりしないで、素材の良さをそのまま引き出しただけなんです。

  司会:相田冬二
Text:イソガイマサト
Photo:星野洋介

リアルでサイテーでも笑えて泣ける現代の人情喜劇
 吉田恵輔という監督が、日本映画の今後を背負って立つ逸材でありながら、いまだ才能に見合う知名度を獲得していない現状は、映画にたずさわる者みんなの怠慢だろう。大袈裟に聞こえるのは百も承知。疑うなら、レンタル屋に走って吉田監督の長編デビュー作『机のなかみ』を借りて欲しい。青春や恋愛のどうしようもないそのまんまを、いささかも美化することなく描き出した「恐るべき才能」を目にするはずだ。
 リアルでサイテーだけど笑えて泣ける……。そんな持ち味はそのままに、さらなるエッジを期待するわれわれの一歩も二歩も先を行ったのが、待望の第2作『純喫茶磯辺』だ。トリッキーな構成で観客をうならせた『机のなかみ』と違って、今回の語り口はオーソドックスなファミリードラマ。才気をアピールする小技は敢えて封印し、万人に開かれた堂々たる「いい映画」に仕上げている。
 もちろん監督独特の毒の効いた笑いや、ダメ人間に寄せる深い愛着は本作でも健在。そこに得意のエロネタを注ぐことで、センセーショナルな問題作をものにすることもできたはず。しかしそんな山っ気よりも、愚かだけどウソのないキャラクターと彼らが暮らす日常の空気がみごとに息づいている。愛すべきと呼ぶには辛らつで、感動を煽り立てる派手なクライマックスもないけれど、信頼に値する「現代の人情喜劇」を確かに吉田監督は紡いでいるのだ!
text:村山章

ちゃらんぽらんな主人公を演じた
宮迫博之の新境地

父親の遺産で時代錯誤な「純喫茶」を開業する超テキトーな主人公、磯辺裕次郎に扮するのは雨上がり決死隊の宮迫博之。何をやらせてもちゃらんぽらんで、情けなさとともに虚無感すら漂わせる怪演がスゴい。これまでも本業のお笑いと並行して俳優として活躍してきた宮迫だが、テンション芸とは無縁のコメディ演技で新境地を見せてくれる。


監督:吉田恵輔 出演:宮迫博之/仲里依紗/麻生久美子/濱田マリ/近藤春菜/ダンカン/和田聰宏/ミッキー・カーチス 配給:ムービーアイ 上映時間:1時間53分 7月5日(土)よりテアトル新宿、シネ・アミューズほかにて公開



監督:吉田恵輔
Profile
'75年生まれ。'96年より、塚本晋也監督の作品にスタッフとして参加。以降、彼の全ての作品で照明を担当している。'06年に中編『なま夏』がゆうばり国際ファンタスティック映画祭のオフシアター部門でグランプリ受賞。'07年の『机のなかみ』も高い評価を受けた。
Message
「本当っ!もう、いい歳して馬鹿じゃないの!」そんな台詞を娘の咲子から言われ続けられる父、裕次郎。そんな事を言われるような素敵な「お馬鹿でパワフルなおじさん」になりたい! そして、そんな台詞をさらっと言える親子関係を作りたい。この映画では私の理想とする親子の絆を描いたつもりです。コクがあるのにキレがある、ちょっとひと息つける映画?……です。
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