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『カメレオン』ティーチインレポート
2008年6月16日(月) 梅田ブルク7(大阪) ゲスト:阪本順治監督 、藤原竜也さん
Pia special preview

 話題の邦画試写会をイベント付きでお届けする、ぴあスペシャルプレビュープラス(主催:ぴあ 協賛:マイワーク)。その第3回目は、ぴあ関西版6月5日号で告知し、6月16日(月)・梅田ブルク7にぴあ読者350名様をご招待して行われた『カメレオン』のティーチ・イン付きの試写会です。阪本順治監督とサプライズゲストで登場した藤原竜也さんの舞台挨拶。そして、上映後に行われた監督と読者の方々とのティーチ・インの模様を徹底レポートします!
 本作は、30年前に松田優作さんのために企画されるも実現しなかった幻の作品を、『亡国のイージス』など重厚な社会派作品に定評のある阪本順治監督が映画化。政府要人の拉致現場を目撃した詐欺グループが、巨大な事件に巻き込まれていく様を描くクライム・アクション。「30年前の脚本ですが、だからこそ皆さんに新鮮に映るんじゃないでしょうか。また、藤原竜也くんのスタント映画でもあるので、それを楽しんでもらえればと思います!」と語った阪本監督の言葉で、和やかに舞台挨拶は進んで行きました。

藤原竜也登場のサプライズに会場は歓喜の渦!阪本順治監督と主演・藤原が映画『カメレオン』の魅力を語る

Q:藤原竜也さんの演出は初めてとなりますが、いかがでしたか?
監督:藤原君はあまり映画に出演されている方ではなかったので、こちらとしては新鮮でした。それに、これまで主演に起用してきた俳優の中で一番年齢差があり、しかも若いんです。だから、「今時の若い人はそうじゃないですよ」とか言われるのではないかと、ひやひやしながらやってましたね。
Q:タイトルの『カメレオン』に込められた思いは何かありますか?
監督:体の色を変えて気配を消す、そんなカメレオンのように藤原君が映画の中でも、今ここにいたかと思うと、急にあそこへ現れるみたいに、思いがけず…藤原竜也!

―― 舞台に立つ阪本監督が名前を呼ぶと、舞台袖からサプライズゲストの藤原竜也さんが登場! 大きな歓声が会場を包み、彼が挨拶を始めました。

藤原:皆さんこんばんは! 今日は足を運んで下さりありがとうございます。この映画に出演させて頂く前からずっと、これまでとは違った役柄をやっていかなければと思っていた時期にめぐり合えた作品です。すごく素敵な仕上がりになっているので、楽しんでご覧になって下さい。
Q:阪本監督の印象はいかがでしたか?
藤原:予想はしていたんですけど、非常に厳しい方でしたね(笑)。俳優の芝居をきちんと見ていらして、強烈な芝居をしようとすると否定されますし、ちゃんと芝居していないとそれも否定されます。すごく微妙なバランスのところでやらせてもらいましたね。
Q:監督は、藤原さんにいろいろ厳しくおっしゃったんですか?
監督:あまり記憶にないのですが(笑)、それは監督の性(サガ)ですね。藤原君をよりよく見せるためにしたことで…。厳しくと言いますか、俳優をもっと魅力的に見せるために、気付いたことはどんどん言わせてもらいました。
Q:藤原さんにとっては大きなステップになりましたか?
藤原:間違いなく自分の中で大きな意味のある作品になっています!
Q:それでは、上映前に皆さんへひと言お願いします。
藤原:非常に疾走感と重みのある映画になっています。懐かしさと激しさを感じながら会場を後にしてもらえればと思っています。
監督:今、皆さんが目の前にしている自然体の藤原君と映画の中の彼を見比べて頂ければ、その変貌ぶりに驚かれると思います。「他人の人生を当人のように演じる」という、俳優の恐ろしい力を彼に期待して撮り上げました。登場人物を愛してもらえる作品になればいいなと期待しております。

―― 舞台挨拶で盛り上がった会場内でしたが、映画本編のエンドロールが終わり、明かりがともると上映前の静けさを取り戻していました。再び登場した阪本監督は、少し緊張感が漂う様子で改めて挨拶をしてくれました。



「三谷幸喜です! 厳しいご意見などありましたら、オブラートに包んでもらえると今晩ゆっくり眠れますので(笑)、よろしくお願いします」と阪本監督。一見強面な監督の、洒落っ気の利いた冗談に会場がどっと沸き立ち、リラックスした空気の中でティーチ・インが始まりました。


読者「時には危険な表情を覗かせ、陰がある詐欺師の主人公・伍郎役に藤原さんを起用されたのはどうしてですか?」
監督「主人公が24、5歳の年齢で、ある種の屈折や孤独を抱えた役柄ということで、その世代の俳優でなおかつ芸能界に馴染んでいない感じの人がよかった。過去に業界のパーティで藤原君を見かけたとき、どこか居心地が悪そうな様子で、その場に対して何かしら違和感を持っているなあというのが記憶にありました。それをふっと思い出し、藤原君でいこうとなりました。」
司会「藤原さんのチリチリのパーマヘアは監督が考えられたのですか?」
監督「あのヘアースタイルは、彼が韓国映画『オールド・ボーイ』のDVDを持って来て、その主人公と同じ様にしたいと言ってきました。それで、一緒に美容室へ行き、仕上げてもらったら意外に(役柄のイメージには)いいなとなって、決定したんです。」
司会「1時間37分と比較的短めの映画でしたが、もう少し膨らませたかった部分はありますか?」
監督「藤原君にアクションシーンをもうちょっとやらせてみたかったですね。私が、ワンカットでは出来ないと思って7、8カットに分けていたアクションシーンを、彼は殺陣師さんの手本を一回見ただけで、全部覚えてやってしまったんですよ!」

―― 俳優・藤原竜也について興奮気味に語る監督。さらに本作の見せ場のひとつでもある、彼が背中で階段をすべり落ちるシーンへと話は移っていきました。

監督「殺陣師さんが階段を落ちるシーンを手本で見せたんですが、失敗してしまいまして。でも、藤原君は「やってみます」と。私は「思い切ってやったらそれでOK」とだけ彼に伝えて、お願いしたんです。それで、彼がやってのけた後はスタッフみんなが拍手! でも私だけ不機嫌な顔で…。「ちょっと痛そうな顔してたんや。もう一回行く か!」って彼に声を掛け、またやってもらったんです(笑)。芝居心入れながらのアクションは普通の俳優さんなら出来ないですよ! だから、彼が今ここにいたら花束を渡したいくらいです。」
司会「クライマックシーンでの藤原さんの鬼のような形相が印象的でした。どうやって引き出されたのですか?」
監督「あそこは「復讐のスイッチが入る」とだけ台本にあって、彼が自分で考えてやったんです。あの時はリハーサルの時間がなく、私が「用意!」っと言ってから本番撮影が始まるまで、彼はずっと息を止めていたんです。窒息の直前かという位、彼の顔からだんだん血管が浮いてきて、危ないと思いながらも、監督の性でもう少し見ていたいとも思いました。とにかく彼には意表を突かれましたね。舞台で培ってきた力を感じました。演出家の蜷川さんはじめ、自分よりも年上の有象無象の役者さんと共演する舞台でしごかれ、鍛錬された彼だからこそ出来たと思います。」

俳優・藤原竜也の確かな演技力と高い身体能力、さらに、彼を主演に抜擢した阪本順治監督の映画作りへ懸けるストイックなまでのこだわりが伝わるエピソードばかり。また、おふた方ともに誠実で丁寧な受け答えが印象的で、読者の皆さんに親近感を抱かせてくれました。監督の物腰の柔らかい対応で、たくさんの質問が飛び交うティーチ・インは、大盛況のうちに終了しました。


幻のアクション映画が藤原竜也主演で“蘇る”
 死後20数年を経た今も尚、メディアに強い影響力を与えるスター・松田優作。彼のため’78年に企画されるも、実現しなかった幻の作品が、“蘇る”! それは、政府要人の拉致現場を目撃した青年と謎の組織の闘いを映すクライム・アクションだ。
 メガホンを執るのは、骨太な男たちのドラマに定評がある、阪本順治監督。本作でもその手腕を大いに発揮している。主演は、“演劇の申し子”と称される若き実力派、藤原竜也。口ひげを蓄え外見を一変させた彼は、走行中のバイクに突進、階段を背中でスライディングなど数々の本格アクションに挑む。
 「これまでの芝居にない経験ができた」という通り、容姿のみに留まらない新たな藤原竜也の側面が、監督により十二分に引き出された本作。映画界にも藤原の存在を、より強烈に印象づけるに違いない。

『カメレオン』[2008・日本/東映] 監督:阪本順治
出演:藤原竜也/水川あさみ/塩谷瞬/豊原功補/岸部一徳
上映時間:1時間40分


監督:阪本順治
Profile
’58年、大阪府生まれ。元ボクサー・赤井英和主演『どついたるねん』(’89)で監督デビュー。その他に日韓の歴史の闇を描いた『KT』(’02)、テロを扱った『亡国のイージス』(’05)など、重厚な社会派ドラマを多数手掛ける。次作は臓器売買に迫る『闇の子供たち』(初夏公開)が待機中。
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